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臨床経過と再発
臨床経過
NMOSDの特徴は予測不能な再発です。
抗AQP4抗体陽性患者の9割以上が再発し、再発のたびに症状は段階的に悪化していきます。
また、一度再発すると何度も再発を繰り返し、再発クラスター化する傾向がみられます。
神経変性は、再発と共に段階的に蓄積するため、再発を起こさせないこと、すなわちRelapse-freeを目指すことが重要です。
NMOSDの臨床経過(概念図)1)
注)図はNMOSDの臨床経過を示した概念図であり、全症例が同様の臨床経過をたどるわけではありません。
1) Kawachi I, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2017; 88: 137-145.
再発
視覚障害(海外データ)2)
Jiaoらの後ろ向き研究において、発症5年後には、抗AQP4抗体陽性患者の41%が、片眼又は両眼の失明に至ると推測されました。
抗AQP4抗体陽性NMOSD患者の失明までの期間(海外データ)2)
Jiao Y, et al. Neurology. 2013; 81: 1197-1204より作成
- 研究概要
- 2005~2011年のMayo Clinicの医療記録を用いた後ろ向き研究より。NMO患者163例(血清陽性110例、血清陰性53例)を対象として、将来の失明及び身体障害度との関連性を検討。
2) Jiao Y, et al. Neurology. 2013; 81: 1197-1204.
[利益相反:本論文の著者にAlexion Pharmaceuticalsより資金提供されている者が含まれる]
疼痛(海外データ)2)
Jiaoらの後ろ向き研究において、発症5年後には、抗AQP4抗体陽性患者の22%がEDSS 6以上に、また8%がEDSS 8以上になると推測されました。
抗AQP4抗体陽性NMOSD患者がEDSS 6に到達するまでの期間(海外データ)2)
Jiao Y, et al. Neurology. 2013; 81: 1197-1204より作成
- 研究概要
- 2005~2011年のMayo Clinicの医療記録を用いた後ろ向き研究より。NMO患者163例(血清陽性110例、血清陰性53例)を対象として、将来の失明及び身体障害度との関連性を検討。
2) Jiao Y, et al. Neurology. 2013; 81: 1197-1204.
[利益相反:本論文の著者にAlexion Pharmaceuticalsより資金提供されている者が含まれる]
救急医療の利用(海外データ)3)
Ajmeraらの後ろ向き研究において、NMOSD発症から1年以内の再発により救急外来を受診した患者の割合はNMOSD患者全体の34.9%、受診回数の平均値は2.8回でした。
また、活動性の高いNMOSD患者※において、NMOSD発症から1年以内の再発により救急外来を受診した割合は60.5%、受診回数の平均値は5.2回でした。
活動性の高いNMOSD患者:データベース上で、最初にNMOに診断されてから12か月以内に少なくとも2回の再発がある患者
Ajmera MR, et al. J Neurol Sci. 2018; 384: 96-103より作成
- 研究概要
- 米国の医療管理データベースを用いた後ろ向き研究より。NMOSD患者1,349例(うち活動性の高いNMOSD患者134例)における評価
[本研究の限界:臨床検査データが不足しており、またAQP4-IgG検査を用いることができなかったため、NMO患者の特定にICD-9-CM診断コードを用いたが、こうしたコードはバイオマーカー検査よりも精度が低い可能性がある。NMO患者識別におけるICD-9-CM診断コードの有効性と信頼性を検討した研究はなく、視神経脊髄脱髄やMSなど、NMO患者と類似したプロファイルを有する一部の非NMO患者をNMO患者として誤って分類した可能性がある。NMO患者のサンプルサイズによる制限があった。必要な時間軸を長くすると研究対象がさらに限定されてしまうため、最初のNMO診断以前の期間における人口統計学的、臨床的特性、および医療リソース使用の特性を比較することはできなかった。対象が高疾患活動性のNMO患者134例のみで、高疾患活動性を有するコホートと有さないコホート間で、各併存疾患による負荷を比較するにはサンプルサイズが不十分であった。]
3) Ajmera MR, et al. J Neurol Sci. 2018; 384: 96-103.
[利益相反:本論文の著者にAlexion Pharmaceuticalsより資金提供されている者が含まれる]
入院(海外データ)3)
Ajmeraらの後ろ向き研究において、NMOSD発症から1年以内の再発により1回以上入院した患者の割合はNMOSD患者全体の22.4%、入院日数の平均値は7.8日でした。
活動性の高いNMOSD患者※において、NMOSD発症から1年以内の再発により1回以上入院した患者の割合は53.7%、入院期間の平均値は9.6日でした。
活動性の高いNMOSD患者:データベース上で、最初にNMOに診断されてから12か月以内に少なくとも2回の再発がある患者
Ajmera MR, et al. J Neurol Sci. 2018; 384: 96-103より作成
- 研究概要
- 米国の医療管理データベースを用いた後ろ向き研究より。NMOSD患者1,349例(うち活動性の高いNMOSD患者134例)における評価
[本研究の限界:臨床検査データが不足しており、またAQP4-IgG検査を用いることができなかったため、NMO患者の特定にICD-9-CM診断コードを用いたが、こうしたコードはバイオマーカー検査よりも精度が低い可能性がある。NMO患者識別におけるICD-9-CM診断コードの有効性と信頼性を検討した研究はなく、視神経脊髄脱髄やMSなど、NMO患者と類似したプロファイルを有する一部の非NMO患者をNMO患者として誤って分類した可能性がある。NMO患者のサンプルサイズによる制限があった。必要な時間軸を長くすると研究対象がさらに限定されてしまうため、最初のNMO診断以前の期間における人口統計学的、臨床的特性、および医療リソース使用の特性を比較することはできなかった。対象が高疾患活動性のNMO患者134例のみで、高疾患活動性を有するコホートと有さないコホート間で、各併存疾患による負荷を比較するにはサンプルサイズが不十分であった。]
3) Ajmera MR, et al. J Neurol Sci. 2018; 384: 96-103.
[利益相反:本論文の著者にAlexion Pharmaceuticalsより資金提供されている者が含まれる]
再発の発生部位(海外データ)4)
2回目のイベントは初発発作と同じ場所で起こりやすいとの報告があります。
Zandonáらの報告によると、2回目のイベントが最初のイベントと同じ部位で発生する確率は、脳群では16倍以上(オッズ比:16.00、p<0.0001)、視神経群(オッズ比:4.08、p=0.0002)と脊髄群(オッズ比:4.59、p=0.0001)で4倍以上でした。すべての共変量で調整しても、有意な共変量で調整しても有意でした。
脳幹群では同じ場所で2回目のイベントが起こる予想の確率は4倍以上でしたが、統計的に有意ではありませんでした(オッズ比:4.42、p=0.2376)。
二回目のイベント部位の分析(海外データ)
初発発作と同じ場所で 起こった例数(N) |
||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
脳(N=17) | 脳幹(N=14) | 視神経(N=58) | 脊髄(N=42) | |||||
OR | OR | OR | OR | |||||
二回目のイベント部位の分析(N=131) | ||||||||
未調整 | 16.000 | <.0001 | 4.424 | 0.2376 | 4.084 | 0.0002 | 4.592 | 0.0001 |
全ての共変量で補正 | 17.311 | 0.0001 | 6.275 | 0.2241 | 3.528 | 0.0012 | 4.922 | 0.0002 |
有意な共変量で補正 | 17.161 | <.0001 | 4.424 | 0.2376 | 3.642 | 0.0008 | 4.592 | 0.0001 |
- 研究概要
- 韓国国立がんセンターのNMOデータベースより、過去に臨床イベントが2度以上発生したNMO及びNMOSD患者131例を後ろ向きに解析した。症状がみられた部位を脳、脳幹、視神経、脊髄に分類した。統計解析はロジスティック回帰分析が行われ、p<0.05であれば有意差があることが示された。
OR:オッズ比
[本研究の限界:本研究はレトロスペクティブなデザインであること。対照群がないこと。当施設は紹介施設であるため、重症な患者が多く意図しないバイアスが生じたこと。]
4) Zandoná ME, et al. Mult Scler. 2014; 20: 1908-1911.