治療

治療の流れ

急性増悪期の治療(初発含む)

副腎皮質ステロイド薬

NMOSDの急性増悪期の治療ではステロイドパルス療法(intravenous methylprednisolone:IVMP)が第一選択として行われています。
急性増悪期における副腎皮質ステロイド薬の治療について、多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017では下記のように記載されています。

CQ12-1-2 副腎皮質ステロイド薬は急性増悪期の治療にどのように使用するか?
(第12章 急性増悪期の治療(初発を含む)、12.1 副腎皮質ステロイド薬)

推奨

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の急性増悪期の治療には、副腎皮質ステロイド(corticosteroid:CS)薬〔特にメチルプレドニゾロン(methylprednisolone:MP)〕500mg/日以上 を3~5日間使用することを推奨する【1A+】。

その他の中枢神経系炎症性脱髄疾患の急性増悪期の治療においても、CS薬(特にMP)500mg/日以上を3~5日間使用することを推奨する【1C+】。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, p176

血漿浄化療法

NMOSDの急性増悪期における血漿浄化療法について、多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017では下記のように記載されています。

CQ12-2-2 血漿浄化療法はどのような場合に使用するか?
(第12章 急性増悪期の治療(初発を含む)、12.2 血漿浄化療法)

推奨

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の急性増悪期に対して、ステロイドパルス療法(intra venous methylprednisolone:IVMP)の効果が不十分な症例や、合併症や副作用のためにステロイド治療が施行できない症例には、血漿浄化療法(plasmapheresis:PP)を行う【1B+】
しかし、長期的な予防効果はなく、慢性進行型MSに対してPPは行わない。

視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)の急性増悪期に対してもIVMPの治療効果が不十分な症例にはPPを用いる【1B+】。難治性NMOの再発予防に定期的PPを考慮してもよい【2C+】。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, p184

CQ12-2-3 血漿浄化療法はどのように実施するか?
(第12章 急性増悪期の治療(初発を含む)、12.2 血漿浄化療法)

回答

血漿浄化療法(plasmapheresis:PP)は、再発寛解型多発性硬化症(relapsing-remitting multiple sclerosis:RRMS)の急性増悪期、ステロイド治療抵抗性の症例に対して保険適用がある。PPは、単純血漿交換療法(plasma exchange:PE)、二重膜濾過法(double filtration plasmapheresis:DFPP)、血漿吸着療法(immunoadsorption plasmapheresis:IAPP)があり、いずれも隔日2~3回/週、7回/月まで施行可能であり、一連の病態に対して3か月間に限りその適用が認められている。視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)をはじめとする、ほかの中枢神経系炎症性脱髄疾患に対するPPも同様に行う。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, p186

再発予防(進行抑制)の治療

副腎皮質ステロイド薬

NMOSDの再発予防(進行抑制)期における副腎皮質ステロイド薬による治療について、多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017では下記のように記載されています。

CQ13-5-3 副腎皮質ステロイド薬はどのように使用するか?
(第13章 再発予防(進行抑制)の治療、13.5 副腎皮質ステロイド薬)

回答

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)では、単独療法として、あるいはインターフェロンβ(interferon-β:IFNB)と併用して定期的副腎皮質ステロイド(corticosteroid:CS)大量療法を考慮してもよい。最適な方法は明らかではないが、 1~4か月毎にメチルプレドニゾロン(methylprednisolone:MP)200~1,000mg/日を3~5日間連続して投与した後に経口ステロイド後療法を数日間行うなどの使用法にて一定の有効性が示されている。

視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)では、ステロイドの使用法に関する単独療法、免疫抑制薬との併用療法に関する質の高い臨床試験はない。NMO発症あるいは、再発時のステロイドパルス療法(intravenous methylprednisolone:IVMP)後、プレドニゾロン(prednisolone:PSL)量として0.5~1mg/kg/日から開始し、1か月に5mg/日程度を減量し、15mg/日まで減量した後はさらにゆっくりと減量し、最終的には0.1mg/kg/日程度を維持量とすることが提唱されている。
長期のCS加療に関しては、開始前および治療中に適宜有害事象のリスクのモニターをして、対策をとることが必要である。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, p250

免疫抑制剤

NMOSDの再発予防(進行抑制)期における副腎皮質ステロイド薬による治療について、多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017では下記のように記載されています。

CQ13-6-2 免疫抑制薬は障害の進行防止に有効か?
(第13章 再発予防(進行抑制)の治療、13.6 免疫抑制剤)

回答

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の進行防止として、アザチオプリン(azathioprine:AZT)は進行を抑制するが効果は限定的である。シクロホスファミド(cyclophosphamide:CPA)は進行抑制効果が一部の症例でのみ期待される。ミトキサントロン(mitoxantrone:MITX)は再発寛解型MS(relapsing-remitting MS:RRMS)や二次性進行型MS(secondary progressive:SPMS)での進行抑制効果がわずかに期待される。メトトレキサート(methotrexate:MTX)の有効性は十分な根拠がない。

視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)に対して、AZTが副腎皮質ステロイド(corticosteroid:CS)薬との併用で、 再発を防ぐことで障害度の蓄積を防ぐことが期待できる。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, p256

アザチオプリンはNMOSDの再発予防としての効能は承認されていませんが、保険使用が認められています

CQ13-6-3 免疫抑制薬はどのように使用するか?
(第13章 再発予防(進行抑制)の治療、13.6 免疫抑制剤)

回答

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)に対する免疫抑制薬の投与はいずれも保険適用外投与であり、通常の疾患修飾薬(disease-modifying drug:DMD)で再発が抑制できない場合や副作用のために用いることができない場合に用いることが考慮される。
アザチオプリン(azathioprine:AZT)は50mg/日の経口少量から開始し、副作用や腎機能障害の有無をみながら2~3mg/kg/日で維持する。
シクロホスファミド(cyclophosphamide:CPA)は1~2か月に1回700~800mg/m²の点滴静脈注射を行う。ミトキサントロン(mitoxantrone:MITX)は10mg/m²を毎月3か月間、以後は3か月ごと5~10mg/m²を投与する方法や3か月ごとに10mg/m²を投与する方法があるが、副作用をみて調整する。あらかじめ制吐薬を投与し、30分以上かけて投与する。
メトトレキサート(methotrexate:MTX)は週に7.5mgの経口投与を行う。

視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)ではAZT 50~150mg/日を単独投与か副腎皮質ステロイド(corticosteroid:CS)薬と併用して経口投与する。ミコフェノール酸モフェチルを用いる場合は、750~3,000mg/日を経口投与する。タクロリムスは1~3mg/日を、シクロスポリン A(cyclosporine A:CyA)は140~150mg/日を経口投与する。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, p259

免疫抑制剤はNMOSDの再発予防としての効能は承認されていません

抗体製剤

NMOSDの発症過程で起こるさまざまな免疫病態に対し、特異的に作用する分子標的薬を用いた再発予防治療を行います。
組織傷害を来す補体C5に作用するeculizumab、形質芽細胞の活性化に重要なIL-6受容体に作用するsatralizumab、B細胞に発現するCD20に作用するrituximab、同じくB細胞に発現し形質細胞にも発現するCD19に作用するinebilizumabがあります。

表 エビデンス

エビデンス総体の総括
A(強) 効果の推定値に強く確信がある
B(中) 効果の推定値に中程度の確信がある
C(弱) 効果の推定値に対する確信は限定的である
D
(とても弱い)
効果の推定値がほとんど確信できない
推奨の強さ
1 強い
2 弱い

文章の意図をよりわかりやすく伝えるため、行うことを推奨する場合には+(プラス)を、行わないことを推奨する場合には-(マイナス)を付した。

日本神経学会 監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. 医学書院, ix